薬局薬剤師の役割を地域住民に知ってもらおう

有馬センター薬局 阿部悦代

 『高齢者の生活に関するミニ講座』が宮前区市民館のワクチン接種会場にて8月2日に開催された。この催しは宮前区地域ケア推進課が接種が行われない日の閑散とする待合スペースを活用しようと企画したもので、宮前図書館、地域包括支援センターと宮前区薬剤師会の計4団体がそれぞれ15分程度で2回にわたり講演した。薬剤師会は「在宅でのお薬の管理方法」について大貫ミチ会長が講演し、私はそのお手伝いで参加した。

 はじめに全国の高齢者人口の増加や宮前区の将来人口推移のグラフなどを示し、これから深刻になってくる2025年問題について解説した。今後の状況に対応すべく在宅医療の体制は徐々に整ってきており、在宅服薬指導では薬剤師が自宅に伺い何を行うのかについて紹介した。在宅での服薬管理は患者本人だけでなくその家族や介護に関わる他職種の方が行うケースも多い。そのため誰が関わっても正しくお薬が飲めるような調剤の工夫が出来ることを、実際の服用日を印字し症状にあわせて調節して飲む薬を別に付けた一包化薬やお薬カレンダーを見せながら説明した。最後に、「私たち薬剤師は医療と介護の架け橋となり体調管理から生活を支える役割をします。そのために医師、看護師、ケアマネージャーの方々と常に連絡を取り必要な対応を行うのでぜひどんなことでも相談してください。」と呼びかけた。

 講演終了後には、「認知症が心配。どこに相談したらいいのか?何を勉強したらいいの?」、「薬剤師は薬を運ぶだけでなく色々(今日の話のような事を)やってもらうにはどうしたらいいのか?」、また「薬剤師さんにもっと薬を減らして欲しい。薬を減らせるのは薬剤師だけ。是非頑張って欲しい。」など時間が足りなくなるほど様々な質問や意見をいただいた。このような声は日常接している患者さんの中にもあるであろう。日頃からどなたでも薬剤師に相談しやすい環境を作る重要性を改めて感じた。また、ちょうど通りがかりで講座の様子を見ていた方から「薬剤師さんがこんなふうに外で薬の話をしてくださるんですね。私は障がい者の支援ボランティアをしている者ですが、うちで講演していただけますか?」と声をかけられ今後の新しい繋がりになる出来事もあった。

 2年前山口県で開催された日薬学術大会に参加したときに認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子さんが薬剤師の役割の"見える化"について講演されていたのを改めて思い出した。今回参加された方には私たち薬剤師の役割を少し知っていただく機会になったのではないか。コロナ禍で講演会等は行いにくい状況だがこの様な活動一つ一つの積み重ねが大切だと感じた。一人ひとりが少しずつでも意識して行動することがより多くの地域住民にとってこの"見える化"への近道ではないか、と参加したことで今までの思いがより強くなった。